執筆:酵素株式会社 代表取締役 野尻明宏

TL;DR(要点まとめ)

  • 韓国の発酵文化は「保存」と「栄養強化」を両立させる生活の知恵。
  • 代表例はキムチ・テンジャン(味噌)・カンジャン(醤油)など。
  • 乳酸菌や酵素が関わり、腸内環境・免疫・美肌効果に寄与する。

1. 韓国の食文化に根付く発酵

韓国といえばまず思い浮かぶのはキムチですよね。
唐辛子やニンニク、白菜や大根を塩漬けにし、乳酸菌と野菜の酵素の力で熟成させます。

韓国では発酵食品は「副菜」ではなく「食卓の中心」。
たとえば、キムチは年間消費量が1人あたり30kg以上とも言われ(韓国農林畜産食品部調べ)、国民食といえる存在です。


2. 主な発酵食品と酵素の役割

  • キムチ:野菜に含まれる酵素と乳酸菌が作用し、ビタミンCや乳酸を生成
  • テンジャン(味噌):大豆を麹とカビで発酵 → 消化を助ける酵素やアミノ酸が豊富
  • カンジャン(醤油):テンジャンから生まれる副産物。旨味のもととなるアミノ酸が中心
  • マッコリ:米を麹で糖化 → 酵母で発酵。アミノ酸・有機酸・乳酸菌を多く含む

いずれも「酵素が働いた結果」として栄養価が高まり、保存性や風味が加わるんです。


3. 書籍や研究から学んだ韓国の発酵文化

私は韓国に実際に訪れた経験はありませんが、研究論文や専門書を通じて学ぶ中で強く感じるのは、韓国の発酵食品は生活に深く根ざしているということです。

たとえばキムチは単なる漬物ではなく、季節の行事(キムジャン)として家族や地域で一緒に仕込む伝統があります。
こうした文化背景が、韓国人にとって「発酵=暮らしの一部」であることを物語っています。

日本の味噌や醤油にも似た共同作業の文化がありますが、比較すると地域ごとに特徴があってとても興味深いと思います。


4. 科学的な裏付け

研究でも、キムチをはじめとする韓国発酵食品には以下の効果が報告されています。

  • 腸内環境改善:乳酸菌が腸内フローラを整える(Kwak et al., Journal of Food Science, 2014)
  • 抗酸化作用:発酵過程でポリフェノールやビタミンが増加
  • 免疫調整:善玉菌の働きで免疫バランスが整う

韓国の長寿地域(全羅南道)では、日常的に発酵食品を摂取していることも注目されています。


5. 私たちの生活への取り入れ方

  • 毎日の食卓にキムチを少量プラス
  • 日本の納豆や味噌と組み合わせて“日韓発酵ハイブリッド”
  • 発酵ドリンクと合わせて「液体+固体」の両面から腸活

発酵文化を取り入れると、ただの健康習慣にとどまらず「食の楽しみ」が広がると思います。


まとめ

  • 韓国の発酵文化は「キムチ・味噌・醤油・マッコリ」に代表される。
  • 乳酸菌や酵素の働きで保存性と栄養価が高まる。
  • 日常的に取り入れることで腸活・免疫・美容に役立つ。

執筆者プロフィール

野尻 明宏(のじり・あきひろ)/酵素株式会社 代表取締役
経済学部で金融・ESG投資を専攻後、信託銀行に勤務。
20年のラグビー経験を経て、発酵飲料メーカーの営業に転身。
現在は酵素ドリンク・発酵食品の製造と研究を行い、「発酵の知恵を未来へつなぐ」活動を続けている。